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「はン」
その苦痛を天城先生に訴えたら、洗眼器をかして下さった。入浴しながら、これを用いて、冷水で目を洗う。これを三分ぐらいやって、目をとじて、三十分、四十分、湯につかって、茫々去来するままにまかせておくのである。眼の疲れは急速に去った。目に水をそそいでから、ヌル湯にながく、ながく、ひたるということは、目の疲れとは別に、頭の疲れを払うためにもキキメがあるようだ。また入浴前に歯をみがいておくことも、いくらか入浴の頭に及ぼす効果を助けるようだ。
「かういふ玩具おもちやのやうなものを出して、年甲斐もないことでした」
「なんだつて、脳溢血?――そいつあ大変だねえ」
「何を云うとる。すまじきものは宮仕へ、といふぢやないか」
「やっぱりチブスで?」
ふたたび相手の鞄にちらりと目をやりながら、練吉は半ば信じない風に訊いた。
「やつぱり徳さんが多いね」
この時さう云ひながら座に入つて来た者があつた。それは今泉だつた。
「うん」
と、練吉が引つたくるやうにとつてしまつた。
房一は怒つたやうな嘲あざけるやうな調子であつた。その顔は何故か黒ずんで見えた。そして、目がぎらついていた。
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