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    こんな風に「円い」――のだらうか。いや、それはどうでもよかつた。盛子はそこに房一を感じていた。それは房一の醜い他の部分を忘れさすに足るものだつた。

    「あなたは御存知ないんですかね」

    「畜生、おぼえていろ。」

    と、練吉が引つたくるやうにとつてしまつた。

    「あ、いゝ、いゝ。なんでもありやしない。今すぐ行かう」

    「これからどちらへ?」

    「さやうでござりますか」

    「もう着てみましたか」

    こんな風でありながら、盛子は小ざつぱりと身ぎれいで、いつの間にそんな雑用を片づけるのかと思はれるほどだつた。いくらか背高ではあつたが、その身体つきにはふしぎな柔味が感じられた。それは娘の頃のまとまりのない柔さではなく、成熟した靱しなやかな柔味だつた。彼女自身はさういふ結婚後の肉体上の変化に気づかなかつたが、それは無意識のうちに感じている房一との結婚生活の幸福さを意味するものだつた。

    「それで、近く片づきさうなんですか」

    「何かね、わしがどうしたといふんかね」

    徳次は口のあたりをもごもごさせた。

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