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    盛子は時々半ば無意識に呟いた。

    「うん?」

    「や、これは。高間さんですか。お久しぶりで」――「お忙しいですか」

    「あれですかね、やつぱり自分で歩かなくちやいけませんかね」

    「やあ。先日はどうも」

    「一つ着て見せたらどうです?高間さんにはきつと似合ひますよ」

    「とんでもない、わたしの持山ぢやあるまいし、こつちは間で口を利いても礦山のことは素人しろうとだし、向ふは専門家でさあね。そんな煽てにのるやうな連中ぢやないよ」

    「もはやお膳も据ゑていたゞきましたし、これで十分頂戴いたしたも同然でありますから、甚だ失礼ながらお先きに御免を蒙ります」

    道平はそのまゝ夕食を招よばれて、ゆつくり腰を落ちつけていたが、夜ふけ近い頃になつて、ひよつこり

    房一は傷を調べにかゝつた。後頭部にもあつた。身体にへばりついたシャツをはぎとると、背部に最もひどい傷があつた、それは紛まがふところのない刃物による刺傷だつた。新しい血がはぎとられたシャツの下から、瞬またゝく間にふき出し、滴したゝり落ちた。

    徳次は慌てた。

    房一はいくらかつんぼの道平の耳に口を寄せて、大声で云つた。

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