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    すさまじい怒気のやうなものが、房一のあらゆる部分に燃え立ち、彼のいかついむくれ上つた肩は二倍も大きくなつて見えた。それに圧倒されたものか、物音は止んで、房一が何かしきりと云つているのが聞えたが、間もなく二三人がごそごそ土手を降りて行つた。

    「それあきまつてる、猟銃だもの」

    「誰?相沢の知吉さんかね」

    今日見るその顔は、色こそ黒かつたが、地蔵眉の、眼もそれに釣り合つて細い糸を引いたやうにやさしかつた。だが、その声には何かきつぱりした、率直さが感じられた。

    「なあんだ、まだ訴訟してるのか」

    「はあ、なるほど」

    「いや、――わしはそんなこたあ嫌ひだ」

    「失礼ですが、もしか、あなたは高間さんではありませんか」

    「いや、高間さんは大漁ですがね。わたしの方はさつぱり駄目ですよ」

    「まあ、生れ故郷ですから」

    富田は庄谷の方に向きなほつた。

    「さうですが、それはさうにちがひないが――」

    「先生お帰りになりましたかね」

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