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「入りましたよ。それがねえ、穴の中は苔が生えたやうな、水たまりもあつてね、やつとこさ奥まで行つてみたんだが、まはりの土はぼろぼろ落ちるし、何のことはない洞穴でさあね、――それでも連中はあつちこつち突ついてみてたがね、含有量はまあもつと試掘してみなけりや判らんさうですよ」
「さう、カワラケ、カワラケ云ひなさんな」
「さあ、どうぞ。ずつとお通り下さい」
「いや、挨拶まはりですよ。どうぞよろしく」
「だつて、喜作さんはこの土地にはいないでせう」
今度はかるく甘えた、羽毛でくすぐるやうな調子があつた。房一はざぶりと水を顔にぶつかけただけで立上つた。
「さうですか」
「何んの。面倒だからこのまゝ行かう」
「なに?」
と、下の男は睨み上げた。
「ねえ、大変!早く」
と、舌ざはりの悪いものでも口にしたやうな調子で、練吉はぽつんと云つた。
「はあ!さう――ですね」
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