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    「や、これは。高間さんですか。お久しぶりで」――「お忙しいですか」

    その外から見れば屋根と築地塀だけのやうな家の前で、三人の男が立つてしきりと話していた。

    「なに?競馬のこと?」

    「これはあなたがお乗りになるので――?」

    その時、千光寺の住職がひよろ長い姿を現はした。彼はたつた今さつき剃そつたばかりのやうな青いつるつるな頭をしていた。今夜の主役だといふ意識がさうさせたのだらう、もつともらしい儀式ぶつた表情のまゝ、彼は集つた人達には目もくれずにまつすぐに仏壇の前に進んだ。だが、そのひきしめたつもりの口もとにはあの真白い偉大な反そつ歯ぱがのぞいていた。

    と、ちやうど追鮎箱のところへ立つて行きかけた徳次は、事もなげに云つた。彼はその水際のところでいきなりシャツをはぎとると、バシヤバシヤツと水洗ひをして、それを日に焼けた石の上に乾した。そのまゝ房一と小谷の前に来ると、美事な半裸体のまゝ腕組みをして突立つた。一種単純な、力づくといつた様子が現れていた。

    「別に惜しいほどのことではありませんよ」つづけて、ふいに調子を変へると、

    と、房一はほつとした面持になつて云つた。

    房一の老父、道平が二三日前に倒れたのだつた。そして、今、練吉に対診を求めて来たのである。

    「はあ、いや。もう手前どもは老いぼれ同然ですからな」

    「何にしても、えらいこつてしたなあ」

    「ふうん」

    「何をするかつ」

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