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    「先生、どうしなさる?着て行きますかい」

    尿には蛋白質はなかつた。排便を顕微鏡でのぞいてみた。いる、いる。蛔虫に十二指腸虫の卵がうんとこさ見えた。

    房一はどこか鹿爪らしい恭順な面持で、控目にじつくり身体を押へるやうにして上るとうしろ向きになつた猫背の老医師の肩がひよいひよいとまるで爪さきで歩いているやうに彼を奥の方へ導いて行つた。

    「別に何日からでもないんです。今日からでも――」

    さう云ひすてて、大きな音を立てて下駄をひきずりながら立去つたのだ。

    と、腰をたゝいてみせた。そこにはまだ一足、紙衣の下からはみ出すやうに、ぶら下つていた。

    「おい、やつは所長だぜ。まだ新任で、来たばかりなんだ。――行かう!」

    「ね、どこも悪くない。だが、その丈夫な身体の中に虫が巣をつくつとる。いゝかね、心臓病とか腎臓病とかいふやうなものではない。虫を駆除する、つまり身体から出してしまへばあんたの身体はもと通りぴんぴんして来る。悪い虫だが、とつてしまへばよいのだから、他の病気よりは性質はいゝと云ふことになる。――判つたかね」

    盛子の顔からはもうあの一人でうれしがつているやうな無邪気さは消えていた。代りに現れたものは物柔い優しさに満ちた注意深さだつた。

    「ありがたう。――あ、大きいね」

    練吉はさつきから一人で喋つていた。

    ところが、徳次はぽかんとした表情を浮かべたきりだつた。

    今泉は一寸いやな顔になりかけたが、

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